戦禍を転じて作画へ(川端龍子)


敗戦の3日前の空襲で川畑家はB29からの直接弾を受け、一瞬にして母屋が潰滅した。しかし、別棟の60畳の広さをもつ画室は、幸い戦火を免れ、≪爆弾散華≫もそこで描かれたものである。爆弾孔を利用して造った池は、龍氏記念館の隣に建つ龍子の旧宅地に現在も残されている。「九死に一生を得た作者の体験です」と語っているが、戦争体験をこのような形で絵画化するなどということは、龍子以外にはできないのではないだろうか?龍子の肝の太さを示すエピソードである。
爆弾の散華するさまを金箔、金砂子によって表現しているのが印象的で、閃光の輝きを効果的に示している。爆風によって南瓜、トマト、茄子などが吹き飛び、植物たちもいままさに散華する。背景に土煙、建物などを描き込まず、余白によって点がこの強烈な一瞬を良く伝えてくれる。従来に全く例を見ない花鳥画が生み出されたといえよう。